新建学校−福岡2017
「今あるモノを革(あらた)む」 講師:伴年晶氏
日時:2017年9月30日(土)18:15~20:30
場所:アミカス2階 視聴覚室 福岡市南区高宮
参加:会員14名 会員外8名 合計 / 22名
講師にお招きしたのは、新建大阪支部の代表幹事で、建築家の伴年晶さんです。
今回は、「今あるモノを革(あらた)む」と題して、具体的な事例等を交えてお話いただきました。
伴年晶 様
先日は、福岡支部主催の新建学校講師としてお越しいただきまして、ありがとうございました。
勉強熱心、且つ好奇心旺盛な仲間が集まる福岡支部では、毎月様々な魅力ある例会が企画されています。大いに学び、語り、建まち10月号で大坪さんのご紹介の通り、例会後の美酒に会員相互のつながりを深めています。
思い起こせば2016年、吉野の研究集会分科会で、初めてお話をお聞きする機会を得ました。
その時から、このわくわく感を是非福岡の仲間で共有したい。その時の思いが、今回ようやく実現致しました。
9月30日、高宮のアミカスにて、6時15分開始。会員14名、会員外7名、計22名の参加を得ていよいよ新建学校が始まりました。
今回のお話の中から、特に心に残りましたものをいくつかお伝えしたいと思います。
(いただきましたレジメを掲載した方が、私の拙い文章よりも強い響きがあるとわかっておりますし、
話した事とずれていると、お叱りをうけるかもしれませんが、そこはお許しくださいませ。)
①設計はリズミカルな対話。建築はそこで生まれる。
建築設計は対話。どれだけ相手の生活、感情のリズムに合ったものを出せるか。それも対話の中で、キャッチボールができるか。
打合せの時は、いかにも建築家ムード、ではない雰囲気のファッションだそうですね。相手が構える事もなく、ごく普段に近い気持ちで会話が出来る。気を許し始めた相手から、本音がちらちら。様々な相談相手の思いを引き出し、対話の中で方向性を導いていく。
投げた言葉が受けとめられて、カタチになって戻ってくるこのリズミカルな時間の、なんと魅力的なことでしょう。こんな対話には、経験と準備もさることながら、伴さんの人間力あっての事だと,改めて感じております。
②目的と手段の幸せな結合は、その時空における固有の存在
時代をどう読むか、場所をどう読むかが、個性的デザインの根源である。
フリースペース「風曜日」。革められた古い商家が風を呼び、町へと流れていく。デザインは形ではないと、妻側の雨よけで教えていただきました。必要なものを探り出す力と、その表現の深さ。
③仕事の方向
・いじらない
・少しだけいじる
・ちゃんといじる
・点晴
お話をうかがって、既存の建築を判断する事の大切さを、あらためて感じています。と同時に何を相手が求めているのか、受けとめ、整理し、方向を決めることも。
いじらないところも、点晴で生まれ変わった空間から及ぶ空気感の流れで、呼吸を始める事も。
2時間半という限られた時間でしたが、集まったみんなが充ちた時を共有し、これからの仕事に向かう思いに嬉しい課題ををいただいた、そんなひと時でした。お決まりの、場所を替えての懇親会では、近くでお話をしたいという福岡支部女子席(すみません。元女子も入っております。)の中で、科学と感性の事から、ご飯の炊き方まで、あらためて、伴さんの深さを垣間見たような気がいたしました。
あの時間を振り返って、日頃から駆け足で仕事に向かっている私自身を、「革めなければ!」と力をいただいた新建学校でした。
伴さん、本当にありがとうございました。
(福岡支部 矢野安希子)