磯田先生よりご相談のあった、小川町の状況を確認するために、福岡支部より大坪、新谷、鹿瀬島、渋田、河野の5名と、東京から千代崎、山下、で行ってきました。
下記はその後の対策などへの磯田先生や宮本氏などのメールです。
[2016/05/24] 磯田
宮本様、早速ありがとうございます。 離れ棟(大正11)はもともと少し傾いていました。柱に建具を合わせるために最大で底辺が3cm程度の調整枠がいれてあります。 3年ほど前に実測していますが、忘れておりました。
地震でさらに少し傾いたと思いますが、外見ではつっかい棒が必要な感じではありませんが、至急確認してみます。確かに22日に傾斜を測定したとき、こんなに傾いていたかと思いましたが。
ありがとうございます。
[2016/05/24] 悠山想:宮本
ご苦労様です。
離れがさらに傾いたとのこと、早急につっかい棒とかで支えてください。
もしくはひく、内部から筋交いとかで引っ張る。そのときコースレッドはだめです。せんだん力が弱すぎる。釘の方が良いです。Pδ効果で傾きがすすむとまずいです。
瓦と厚形スレートの重量の差は約20キロです。瓦の土を撤去しただけで充分な耐震効果がでています。
いまの段階で建物の平均の重さは㎡あたり1.2tぐらいだと考えますと相対的には20キロの重量差は問題にならないと考えます。
民家への相談で限界耐力計算で耐震性能をチェックするとしていますが、変形能力10分の1をめざすとともに制震ダンパーの耐力、変形型で対処しようと考えています。履歴曲線を大きくとれば、建物のポテンシャルエネルギーは増えます。
磯田先生にお願いです。図面を書くときに構造図をお願いします。
軸組図がほしい。耐震要素として土壁の厚さ、差し鴨居、足固めのおおきさ、垂れ壁、腰壁のせいは必要です。仕上げ材これは荷重のためです。
写真は外観、内観、床下、小屋組とたくさん撮ってください。図面作成のときに有効です。
差し鴨居等の補強としては、例えば変形性能の高い筋交い金物ブレスターZとかホールダウンの金物も有効かもしれません。
17日に古川さんの動いた自宅は、もとにもどりました。
伝統木構造の会から熊本支援についてそうだんが来ています。
27日に副会長と京都で会います。
小川町のことを話しておきます。
縁側とかの下屋は主やと一体となっていなければ、荷重を増やしただけとなります。一体となる方法を考えて耐震性能をあげること、耐震性能ゼロはないと考えて対処する。耐震建具は有効かなと思います。
なかなか時間がとれません。来週はなんとかと思っております。
[2016/05/23] 磯田
宮本様、皆様
ありがとうございます。昨日5月23日に大坪さんをはじめ新建の方々が再度小川町に来てくださいました。新麹屋(柏原邸)の離れ棟の屋根工事は瓦と土を下した段階でストップしています。
昨日夕方、新建の方々のアドバイスを受けて柏原さんと話し合い下記のことを決めました。恐縮ですが、チェックしていただければ幸いです。
主屋棟(明治16年)以外の a離れ棟(木2、大正11)、b座敷棟(木1、建築年不詳)、C居間棟(木1、主屋棟と座敷棟のつなぎ部分、建築年不詳) d縁側縁桁のはずれ部分について
▥ 建て起こし
(1)a、bについて柱の傾き、及び床の沈下状況等を調査し図面作成(磯田、坂田)
(2)上記図面を曳家さん(人吉市フクドウ氏)に示し、建て起こしの見積もりをお願いする。フクドウ氏は現在熊本市の新町・古町で多忙で時間が必要、坂田から依頼する。
(3) 曳家さん(フクドウ氏)に現場を確認していただき、建て起こしの工事をしていただく。
▥ 屋根工事を再開(工務店)
▥ 構造補強案の作成
(1)c居間部分の差鴨居はずれ部分の構造補強案の作成(磯田、坂田が案を作成し、設計事務所にチェックしていただく)
(2)c居間部分の小屋組の点検と措置案の作成(工務店、工務店ができなければ原田、磯田、坂田)
(3)d縁側縁桁のはずれ部分の構造補強案の作成(磯田、坂田、設計事務所にチェックしていただく)
▥ 構造補強工事(工務店)
▥ 内装工事(工務店)、建具の修復(工務店)
[2016/05/23]悠山想:宮本
大変さが伝わってきます。
ひとつ、瓦と土は落とした方がいいです。その後瓦屋さんでも大工さんでもよいので、ルーフィングを葺いてください。
野地板は必要です。その方が台風対策やその後の瓦葺きが楽です。ルーフィングは2年くらいは持ちます。
いま民家再生協会にも相談がきておりまして、城南町ですが、古い家は残り増築棟が壊れたとのことです。
民家協会で調査し図面を起こし、限界耐力計算にて耐震補強の方法までを作成して工務店に修復を頼むという段取りを考えています。再生になりますので、温熱環境も考えた提案をしようとしています。
その中で会員のスキルアップもできるのではと思っています。
修復については、条件が色々でしょうから簡単には答えられないと思うのですが。まず被害状況を把握する調査からだと思います。
全国的な大工、左官,瓦職人の応援も考えるべきでしょう。考えてみましょう。26日には熊本にいきます。
[2016/05/22]磯田
片井様大坪様皆様
本日、日奈久温泉街の泉屋、金波楼他をヘリテージマネージャの人たちとみてきました。先ほどかえってきました。
1.心配していた泉屋は、棟瓦が棟の半分以上落ちているのですが、幸い雨漏りはしていませんでした。柱、梁等の構造はなんとか大丈夫と思います。しかし、内部は漆喰壁がかなり落ちていました。外壁も一部落ちています。非常用梯子があり、屋根には登れますので、大工さんにブルーシートを掛けてもらうようお願いしてくださいと、頼んできました。とりあえず大丈夫です。
2.小川町の若木屋さんから連絡があり、左官さんが見つからないので、なんとか助けてもらえないだろうか?というお電話をいただきました。なんとか支援をしていただくと幸いです。
3.昨日ヘリテージの方々と最後に小川町の新麹屋(柏原邸)を見ていただきました。離れの柱6本の傾きを計ると3~4度ほど傾いています。柏原さんは今足場がかかっているので、一気にコロニアルを葺いてしまいたい、と言われましたが、ヘリテージの方々は、柱が傾斜しているので、基礎からキチンと調査して、基礎や柱の傾きを直してから、屋根工事にとりかかってはどうか?とアドバイスされていました。
離れは地震前から少し傾いていたようです、柱に建具を合わせるために、三角形の板がはめ込まれていました。
どうするか、悩んでおられるのではと思います。
4.5月末頃から取壊しを決めておられる市丸邸(明治20年代)の簡単な実測を考えております。手伝っていただくと幸いです。
明日小川に10時頃行き、11時頃までおります。
*駐車場は柏原さんの裏庭を使ってください。平日は駐車している車が多いかと思いますが、空いているところはOKです。どうぞよろしくお願いもうしあげます。
[2016/05/22]磯田
片井様大坪様皆様
ありがとうございます。23日(月)は県大で講義がありますので、11時頃まで小川に滞在可です。15時30頃に帰ってきます。
修復で支援が必要なのは塩屋と若木屋さんです。特に塩屋は女性2人で苦労されています。まだ雨対策ができていません。
本日塩屋の森田さんから電話があり、瓦業者(?)の方から、ブルーシート、シルバーシートを掛けたいけれど、瓦を下してから掛けたいので、瓦を下す人出を捜してほしい、といわれたそうです。
現状はとにかくシートをかけておくのが先決と思いますが。また、”よろずやさん”は「何もしない」と言われていましたが、少し気になります。
修復のプロセスをお示しして、具体的な段取りを決めてさしあげるとよいかと思います。また立派な町家建築(明治20年代)が1軒、立派な近代和風住宅(明治頃か)が取壊しを決められています。なんとか部材だけでも残したいです。その手立てはどのようにすればよいのでしょうか?
明日、明後日は文化庁➜県からの依頼でヘリテージマネージャとして近代和風2次リスト掲載建築の被災状況をみて廻ります。私の担当は八代市の松浜軒や日奈久温泉街などです。
日奈久は大丈夫と思っていたのですが、昨日見てまわりました。旅館泉屋(昭和2年)木造3階は女将さんと先代女将さん2人で経営されています。屋根の棟瓦が半分程度落ちています。地震いらいそのまま手つかずの状態です。雨がざーざー漏っているのではと思います。せめてブルーシートを掛けてください、とお願いしたのですが、業者に頼んでも打ち合ってくれないようです。クレーン車が必要です。立派な旅館です。廃業すると言われていますが、なんとか助けていただきたいです。
23日16時頃から日奈久の泉屋旅館を見ていただくとありがたいです。
23日は坂田君に連絡を取ってみますので。本当にありがとうございます。